ぴよすけです。
ぴよすけが高校生の時に初めて読んだ、夏目漱石の『こころ』。
教科書では「下 先生と遺書」の一部に触れましたが、この作品を読んだときいろいろなものを現代版に置き換えて想像しながら読みました。
恋愛について、家について、学生について…
しかし、今とは大きく違った制度やしきたりがあり、想像したつもりでもなかなかピンとこなくて読みづらかった思い出があります。
そこでこの記事では、明治時代の大学生について深掘りしています。
明治時代の代表作として『こころ』や『舞姫』があり、この2作品は現在でも多くの教科書に採録されています。
この記事を読めば、『こころ』や『舞姫』の読み方が変わりますよ!
明治時代の大学進学率はたったの1%!?
夏目漱石の小説『こころ』に登場する「先生」の学生時代は、進学率がたったの1%ほどだったと言われています。
今では「高校を卒業したら大学に進学したい」という進路希望はごくごく普通になっています。
その理由も様々で、
- 高校卒業と同時にまだ働きたくない
- 大学生になって青春を謳歌したい
- いい会社に入るためにいい大学に進学したい
などなど。
現在、大学進学率は50%前後と言われています。
ざっくりですが、毎年100万人ほどの高校3年生がいて、その半分にあたる50万人ほどが大学受験をしています。
(令和2年度の共通テストの志願者数は約53万人です)
そのため明治時代の作品を読む際には、現在の大学進学・大学生とは少し違った視点で読まなければなりません。
大学卒業時には国を背負うリーダーに
たった数%の大学進学率だったため、大学生=優秀な人材だったと言われています。
そのため大学卒業後には国を動かすような役人になる人材が多かったのです。
森鴎外の小説『舞姫』に登場する豊太郎ですが、官僚として国外へ働きに出ていますよね。
どんな人が進学するの?
この時代に大学進学をするのは、幼い頃から周囲の大人から優秀であるという評価を受けている人物です。
現在では進学情報誌が出回り、大学でもオープンキャンパスが開かれているため、大学進学希望者は様々な場面でランクや偏差値などの情報を入手できます。
しかし明治時代には塾や全国模試などありません。
自分にどのくらいの学力が備わっているのかを客観的に判断できるだけの材料がないのです。
周囲の大人から自然と「こいつは大学に行くだけの人間だ!」という評判が立たなければ進学を考えるということにならなかったのでしょう。
大学進学率が低かった2つの要因
① 大学の数が少なかった
これほどまでに進学率が低い要因の一つには、大学が少なかったことが挙げられます。
現在はよく「星の数ほどある大学」という言い方があるように多くの大学が全国各地に点在しています。
しかし明治時代末(1912年)までに設置された学位を授与できる大学はわずか4校だけでした。
京都帝国大学
東北帝国大学
九州帝国大学
② 高額な学費
現在では家庭の経済的な理由で進学の道が閉ざされないようにするため、各種奨学金給付や教育ローンなどが整備され、進学する際に利用できるようになっています。
明治時代にはこのような制度は存在せず、高い授業料を支払うことができなかったため進学を諦めざるをえない人が多かったのです。
もし現代社会でも奨学金制度や教育ローンなどの金策ができなければ、高い入学料や授業料、実習費などで進学を諦めなけらばならない家庭もあるのではないでしょうか。
(私立の大学で4年間下宿をした場合、800万円以上かかるのはザラですし…)
そのため、大学進学を果たせたのは資金力のある家庭、もしくは資金援助をしてくれるアテがある場合に限られていました。
おまけ:公開講座を受けて知った現在の大学生
先日、機会があって自宅近くの某私立大学に公開講座を受講しました。
そこで講座を担当した准教授から驚きの一言が…
「最近ではノートの取り方を大学1年生で教えているんです」
…え?ノートの取り方??
呆気にとられましたよ。笑
今では大学1年生の基礎ゼミナールで講義や演習のノートの取り方を指導しているそうです。
その大学ではすべての学生ではないにしても、多数の学生がきちんとノートがとれないそうで…
先に述べたように、現在では星の数ほど大学があります。
中には「お金を出せば頭が悪くても入れる学校」などと評されているものもあります。
大学はもともと研究を行う機関であり、単純に高校卒業の延長線上にある学校ではありません。
現在の高校生たちには「なんとなく行くものだ」という意識ではなく、明治時代のように「自分で〇〇を研究するんだ!」という高い志を抱いて入学してもらいたいものです。
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