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『よるのばけもの』異色の住野ワールド!作品の3つの魅力を紹介

ぴよすけです。

今回は住野よるさん作『よるのばけもの』の記事です。

 

紹介と考察を1つの記事にしようかと思いましたが、未読で気になっている方のために極力ネタバレせずに魅力をお伝えしたいと思い、記事を分けました。

 

この記事では『よるのばけもの』をまだ読んでいない方に向けて、3つの魅力を紹介します。

本記事は(テーマには触れますが)物語結末に関わるネタバレをしないようまとめていますので、未読の方でも安心してご覧いただけます。

 

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魅力① 特徴的な登場人物たち

『よるのばけもの』では主人公を含む登場人物たちのほとんどが中学3年生です。

主要な大人は保健室の先生くらいでしょうか。

中学3年生のクラスを舞台にしたお話なので、若干登場人物が多く感じました

 

思春期真っ盛りの子どもだけど子どもではない、大人ではないけど大人になっていない感受性豊かなお年頃の人物たちが物語を展開していきます。

 

これまでの住野よるさんの作品でも受けた印象ですが、今作でも各キャラクターの個性が際立ちました。

クセのある話し方やふとしたときに見せる表情の描写など、人物たちの細かい部分まで作りこまれており、作品世界に惹きこまれます。

 

小説の3分の1程度を読んだあたりで、主要人物たちの立ち位置と関係性がはっきりとしてきます。

 

しかし『よるのばけもの』は、この人物たちの内面がとても奥深いものになっています。

人間の本質、その人の本質は何なのかを追求するお話なので、1度読んだだけでは「表面的な部分で理解している」つもりが実は理解できていなかった、という印象がありました。

 

読了後、人物描写をもう一度初めから丁寧に読んでいきたいという気持ちにさせてくれる言葉が作中にいくつも登場しました。

 

 

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魅力② メッセージ性が強いテーマ

『よるのばけもの』のテーマは、ずばり「いじめ」です。

 

主人公・あっちーのクラスで一人の変わった女の子・矢野さつきをみんながいじめています。

『よるのばけもの』の書評としてよく見かけるのが「ダークな感じ」や「内容が重すぎる」というものです。

 

たしかに読んでいて苦しくなったり、読み進めることで胸が痛くなるようなテーマではあります。

 

 

いじめにはいじめられる側がいて、いじめる側にも傍観者がいて、実行する人間がいて…

では自分だったらどこにいたいのか、どこにいるべきなのか…

大人になったらちょっとだけ自由になる」という言葉はどう解釈すべきなのか…

 

誰もが感じるであろう人とのつながりにおける痛みや思いを文字化していること、いじめという問題を真正面から最後まで描いていることから、『よるのばけもの』という作品が持つ価値は相当高いと感じました。

 

決して小説だからという創作上のご都合主義だけで描かれているわけではなく、きちんと人物の本質に迫った内容で話が展開していきます。

 

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魅力③ 読者の想像に委ねる

『よるのばけもの』には結末まで読んでも回収されない伏線がありました。

しかしまったく解けない謎ではなく、様々な部分から「こうではないか」という考察ができるものです。

 

結末自体も「ここで終わりか~」という感じです。笑

しかし、物足りないという気持ちではありません。

ここで終わるからよかったのか…という感想です。

 

むしろそれ以上のことが描かれてしまうと、作品価値が落ちてしまうような気もするので、ちょうどいい塩梅で謎が謎のままになっています。

 

謎が残るからこそ、「よく読まなければならない」と思わせてくれる作品です。

 

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これまでの住野さん作品とは異なる作品

ここまで『よるのばけもの』の3つの魅力をお伝えしましたが、おそらくこの作品は万人受けするものではないかもと思います。

 

・ある人にとってはよくわからない作品

・またある人にとっては感動物語

・また別の人にとっては悲しいお話

 

正解はどうすればいいのか、タイトルの「ばけもの」とは何だったのか、様々なことを読者に投げかけるメッセージ性の強い物語です。

 

文庫本1冊でここまで心が動かされるという意味では、素晴らしい作品であることに間違いありません。

創作物でありながらリアルなイメージが湧きおこる作品、ぜひご一読ください。

 

ネタバレありの徹底考察をした記事はこちらからどうぞ。

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夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて――。

 

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